車間距離はその名の通り、車両と車両の間の距離のことです。
適切な車間距離を確保しておくことはドライバーとしての義務であり、万が一適切な車間距離を保っていなかった場合は道路交通法による罰則の対象となります。
安全で事故のない社会を作るために必要不可欠な車間距離について改めて確認しておきましょう。
車間距離はなんのためにあるの?
車間距離は、主に車同士の衝突を避けるために定められた、車両同士の間隔のことです。
走っている車は急に止まることはできませんので、例えば前の車が急ブレーキを踏み込んだ際に適切な車間距離が保たれていないと、すぐに衝突事故が発生してしまいます。
また後続の車が必要以上に距離を詰めてきている場合、前を走っている車は後方の道路状況を確認することができず、安全に走行することが出来なくなってしまいます。
そのため2020年6月30日からは、通行を妨害する目的で車間距離不保持違反を行った場合「あおり運転」と認定されて罰則の対象となることになりました。
車間距離の目安はどのくらい?
車間距離は、前の車が急に停車しても衝突を避けられる距離がひとつの目安になってきます。
そのため道路状況によって、推奨される車間距離は大きく異なりますので注意が必要です。
路面が乾燥している一般道路の場合
雨や雪などで路面の状態に影響がない日の一般道路は、もっともブレーキが効きやすい路面です。
時速30kmから60km程度で走っている時は速度計の数字から15をひいた距離(m)以上、時速60km以上を超える場合は速度計の数字と同じ距離(m)以上が車間距離の目安です。
(例1)時速55kmで走行中の場合は、55-15=40なので車間距離目安は40m
(例2)時速65kmで走行中の場合は、車間距離目安は65m
路面が濡れている一般道路の場合
ブレーキを踏んでから車が停止するまでの距離を「制動距離」といいますが、制動距離は路面が濡れている場合、乾燥した路面の約1.5倍程度の距離を必要とすることが分かっています。
そのため路面が濡れている場合は、路面が乾燥している場合と比較して車間距離も1.5倍から2倍程度確保して置く必要があります。
(例1)時速55kmの場合、乾燥した路面の車間距離目安は40m。
そのため路面が濡れている場合の車間距離目安は、60mから80m。
(例2)時速65kmの場合、乾燥した路面の車間距離目安は65m。
そのため路面が濡れている場合の車間距離目安は、100mから130m。
路面が乾燥している高速道路の場合
路面が乾燥している高速道路の場合も一般道と同様に、速度計の数字をmに置き換えた値が車間距離の目安となります。
ただしこの車間距離は、溝が減っていない新しいタイヤの場合に限られます。
タイヤが古くなって溝がすり減ってくると、ブレーキの効きが弱くなり、制動距離がさらに長くなります。
そのため高速道路を走行する際はタイヤも含めて改めて車両の点検を行い、必要に応じて整備を受けるなどの対応を取りましょう。
路面が濡れている高速道路の場合
路面が濡れている高速道路も、タイヤの溝がすり減っている場合と同様に制動距離が長くなり、車は急に止まることが出来ない状態になっています。
新しいタイヤで乾いた路面を走行する際の2倍以上の車間距離をとり、安全運転を心がけて運転しましょう。
欧米で主流の「時間」を使った車間距離の取り方
従来の日本では車間距離をm(メートル)で考える方法が一般的で、自動車教習所などでもこの考え方を使った車間距離の取り方を推奨してきました。
しかしながら実際に車を運転している時に、車間距離を正確に目測で確認することは難しく、また距離の認識に対しても個人差が生まれてしまうという問題が指摘されていました。
そこで近年では主に欧米で取り入れられている「時間」を使った車間距離の取り方が普及してきています。
具体的には、前の車両が何か目印となる標識などを通過してから、自分の車両がその目印に到達するまでの秒数をカウントすることで車間距離を見極めます。
目安となる秒数は以下の通りです。
●道路が渋滞している(速度を落として運転している)場合・・2秒
●道路が渋滞していない(法定速度目いっぱいで運転している)場合・・2秒以上
●減速に時間を要する大型車などの場合・・3秒
前の車が目印を通り過ぎてからの時間をしっかりとあけることで、車間距離のとれた安全運転を実現することができます。
車間距離を適切に保たなかった場合の罰則は?
車間距離をとらずに運転していると、ドライバーの義務である安全運転に違反することになっていまいます。
道路交通法でも罰則が定められていますので、細心の注意が必要です。(写真:出典 ラジオライフ.com)
一般道で車間距離を保たなかった場合
一般の道路(高速道路以外の道路)で車間距離を保たなかった場合は「車間距離不保持違反」という名前の違反に該当します。
一般道での車間距離不保持違反は、普通車の場合6,000円の罰則と違反点数1点になってしまいます。
違反点数がつくことになりますので、次の運転免許証の更新ではゴールド免許を保持することはできなくなってしまいます。
高速道路で車間距離を保たなかった場合
高速道路で車間距離を保たなかった場合は、一般道での車間距離不保持よりも事故のリスクが高まるため、より重たい罰則が定められています。
「高速自動車国道等車間距離不保持違反」という違反に該当し、普通車の場合は9,000円の反則金と違反点数が2点と定められています。
近年警察では特にこの高速自動車国道等車間距離不保持違反の検挙に力を入れており、年々取り締まりが厳しくなっています。
もしも自分が車間距離を詰められた場合はどうすればいい?
自分自身が適切な車間距離を確保して安全運転に努めている場合でも、後続車から車間距離を詰められてしまった場合はどうしたらよいのでしょうか。
危険なあおり運転とも認定される後続車がいる場合は、まずは身の安全を確保する必要があります。
車間距離を詰められた場合の対応1.車線変更をする
あおり運転をする車両の多くは、なんらかの理由で先を急いでいる可能性が高いです。
複数の車線がある道路の場合は、車線変更をして後続車を先に通すことで解決するケースが大半です。
車線を移動するか、車線が複数ない道路では一度コンビニの駐車場に入るなど、とにかく後続車を先に通しましょう。
車間距離を詰められた場合の対応2.警察に通報する
こちらが車線を譲っても執拗に追いかけてくる場合は、悪質なあおり運転です。
同乗者がいる場合は同乗者が、1人で運転している場合は安全な場所に車を停めてから、110番通報(危険!あおり運転はやめよう:警察庁)を行いましょう。
この時どんなに大声を出されたり、車両を蹴るなどの暴行があったとしても、決してドアや窓を開けないよう注意が必要です。
ドライブレコーダーを搭載している場合は記録が残っており安心できますが、ドライブレコーダーが未搭載の場合は同乗者にスマートフォンで録画してもらうなど、車間距離が適切に保たれていない様子を記録しておくとよいでしょう。
車間距離はセーフティードライブに必要不可欠。必ず車間距離をキープしよう。
車間距離はすぐに止まれないという車の特性上、必要不可欠な車両同士の距離です。
交通事故のない安全な社会のため、ドライバーには車間距離を適切に確保した上で、衝突事故のリスクを回避する運転が求められます。
車を運転する際には路面の状況や車両の状態を確認した上で、適切な車間距離を保ちましょう。
また万が一、後続車から車間距離を詰められてしまった場合は落ち着いて対処ができるよう心がけておくと安心です。
むち打ち治療協会 局長 / 最高の交通事故治療専門家 団長
交通事故に遭うこと6回、しかも同じ日に2回追突された経験を持つ交通事故の常連。身体を壊し思うように動けなくなった経験から、同じ境遇の人々を救うためには、信頼できる治療家が必要だと強く感じ、この業界に飛び込むことを決意。以来15年間、治療家たちに「最高の交通事故治療専門家」になるための知識と独自のブランディング戦略を伝授し、患者さんに選ばれる治療院作りを支援中。自らの経験を活かし、交通事故による痛みと戦うすべての人々に希望を届けるべく奮闘中!