むち打ち症と勘違いされる「脳脊髄液減少症」という病気とは

恐い病気 脳脊髄減少症

なかなか治らない「むち打ち」や「頭痛」は、もしかしたら深刻な脳の病気かもしれません

「むち打ち症と診断されたけど、まるで良くならない」「寝ていないと頭痛が酷い」など、むち打ち症に似た症状が長引くのでしたら、それは危険な病気かもしれません。

例えば、寝ていると症状はあらわれないが、立ち上がったり、頭を起こすと、目まいや激しい頭痛が起きる。

そしてまた横になる(寝たりする)と症状が改善されるなら、難治性の病気「脳脊髄液減少症」(別名:低髄液圧症候群とも言わる)の可能性があります。

脳脊髄液とはその名の通り、クモ膜下腔という袋の中を満たすことで、脳と脊髄を守っている液体を指すのですが、その脳脊髄液が何らかの理由で硬膜から外に漏れだし、クモ膜下腔内の量が低下してしまうのが脳脊髄液減少症です。

症状が、「頭痛やめまい」「吐き気」「鬱症状」、「視覚の機能障害」「倦怠、軽い疲労感」「耳鳴り」などと、むち打ち症と似ているため、始めはむち打ち症と勘違いされる方が多く、当協会の認定院にも、脳脊髄液減少症と知らずに来院される患者さまがいらっしゃいます。

しかし脳脊髄液減少症は、診断が非常に難しく、一部の病院でしか治療ができません。

ですから今もなお、原因がわからなかった病気として診断される方もいます。

そこでここでは、脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)について解説させていただきます。

脳脊髄液減少症のスペシャリストが解説! 医師:高橋浩一

はじめに脳脊髄液減少症の権威、山王病院 脳神経外科部長 高橋浩一先生に、脳脊髄液減少症の症状、検査、対処法、治療法について分かりやすく解説いただきましたのでご覧ください。

(※動画では副部長となっていますが、現在は脳神経外科部長です) Dr.高橋浩一のプロフィール高橋浩一公式WEBサイト

脳脊髄減少症とは、どんな病気なの?

脳脊髄液減少症は、交通事故や転倒、スポーツによるケガ、強い衝撃などが原因で脳脊髄液が漏れ、脳や小脳が下がることで発症します。これにより、頭痛、めまい、吐き気、視覚障害、耳鳴り、首の痛み、全身の倦怠感、記憶力の低下など、さまざまな症状が現れます。

これらの症状は慢性的で、就労や日常生活、学業に大きな影響を与えることがあります。その結果、就労が困難になったり、学校に通えなくなる子どももいます。

女優の米倉涼子さんが、テレビ朝日の人気ドラマ「ドクターX ~外科医・大門未知子~」の制作発表会で、自身が脳脊髄液減少症(別名:低髄液圧症候群)であると明かしたことで、この病気が一気に注目されました。

どんなことが原因で脳脊髄減少症になるの?

脳脊髄減少症は、交通事故が最も多い原因ですが、他にも、ラグビーやサッカー、スノーボードなどのスポーツでも発症しています。

それ以外にも、日常生活で転倒し、強い衝撃を受けた場合でも発症することがあります。また、出産がきっかけで発症された方や、楽器の演奏による負担で発症された方もおられます。

特に子供の場合、学校や日常生活の事故でも発症することがあり、たとえば、学校の廊下で滑って頭を強打して発症したケースもあります。

脳脊髄液減少症の方によく見られる症状

寝たきり 頭痛難民

  • 立つと症状が悪化する
  • 外傷1ヶ月以内に症状が現れている
  • 気圧の変化で症状が悪化する
  • MRIなどの諸検査で異常が認められない
  • 鎮痛剤の投与や、抗精神薬の投与などの効果がとぼしい
  • 通常では見られない、難治性(なかなか回復しない)むち打ち症
  • 毎日症状が現れる
  • 外傷や事故をきっかけに、人が変わった様になった
  • 運動で症状が悪化してしまう
  • 水分補給や点滴で、一時的に症状が緩和される

どこに相談したら良いのでしょうか?

まずは、脳脊髄液減少症の診断と治療に対応している医療機関(脳脊髄液減少症の診断・治療ができる医療機関)にご相談ください。

専門のドクターがいれば理想的ですが、見つからない場合は、脳脊髄液減少症に関する支援を行っている団体(認定NPO法人 脳脊髄液減少症患者・家族支援協会)にも相談してみてください。また、当協会の認定院が近くにある場合は、その院にもご相談いただければ、脳脊髄減少症とむち打ち症かの診断を行ってくれます。

この病気は、むち打ち症と似た症状を持っているため、専門的な知識のない病院や治療院(接骨院・整骨院)で治療を受けると、むち打ち症と判断され、症状が改善されないだけでなく、逆に悪化する可能性があります。専門知識を持った医師や施設での治療が重要です。

認定院で行う、脳脊髄液減少症の検査方法とは?

まずは問診を行い、頭痛や吐き気、めまい、首の痛み、倦怠感などの症状があるかどうかが詳しく確認されます。これらの症状が複数ある場合、脳脊髄液減少症の可能性が高くなります。

そして脳脊髄液減少症の患者によく見られるのが「起立性頭痛」という症状です。これは、立ち上がると頭痛が悪化するもので、脳脊髄液の圧力低下が原因とされています。

そこで体位変化の検査を行い「脳脊髄液減少症」の判断をします。以下は検査方法の1つです。

LUPtest(ラップテスト)


(1)膝を立てた状態で仰向けにベッドに寝る。腰に毛布やクッションを畳んだものを敷いてベッドから10センチ以上浮かせる。

(2)腰に敷いていたクッション等を取り除いた後、ゆっくりと上半身を起き上がらせ、座った姿勢にする。

脳脊髄液減少症の患者様に良く見られる症状として、(1)の姿勢をとると頭痛が軽減、または消滅し、(2)の姿勢をとると頭痛が再発、または強く現れる、という特徴があります。

ただしこのテストは診断方法の1つです。このテストの反応の有無だけで安易に判断せず、治療を含めた診断は専門の脳神経外科や整形外科で、頭部のMRIやCTスキャンを行い、脳や脊髄の画像を撮影し、脳脊髄減の漏れや圧力の変化を確認することをお勧めします。

※体位変化検査を希望される場合は、当協会の認定院でも実施しているところがありますので、お近くの認定院にご相談ください。

脳脊髄液減少症になった場合の応急処置を教えて!

脳脊髄液減少症の応急処置として、以下の対応が推奨されています。

  1. 安静: 症状が疑われる場合は、まずは安静にしてください。横になり、体を休めることで症状の軽減が期待できます。
  2. 水分補給: 十分な水分を摂取することが重要です。脳脊髄液の再生を助けるために、1日に2リットル以上の水分を摂ることをお勧めします。

約2週間、心身ともに安定した状態で横になり、十分な水分を摂取してください。当協会の認定院に来院された患者様の中には、上記の方法で回復されたという報告があります。

水分補給については、株式会社大塚製薬工場から発売されている経口補水液「OS-1(オーエスワン)」が推奨されています。「オーエスワン」は、消費者庁の許可を受けた食品で、脱水状態の改善や水分・電解質の補給に役立ち、脳脊髄減少症の応急処置としても利用も推奨さています。

※発見が早ければ早いほど、改善する可能性が高くなりますので、いち早く応急処置をお勧めします。

脳脊髄減少症の救世主?「ブラッドパッチ療法」とは

公明党 脳脊髄減少症
脳脊髄液減少症の治療方法の一つに「ブラッドパッチ療法」というものがあります。これは、髄液が漏れ出している部分に自分の血液を注入し、漏れを止めるという治療法です。(画像:公明党WEBサイト

この療法は、上記の治療で回復が見られない場合に特に効果的です。2016年4月からは一部が保険適用(自賠責保険など)となり費用が軽減されてますが、まだまだ厳しい状況は変わりありません。また、対応できる医療機関も増えてきていますが、こちらも専門医師などが不足し厳しい状況です。

脳脊髄液減少症に対するブラッドパッチ療法の有効率は約75%です。特に思春期に発症した場合、治療開始から5年以内であれば、その効果は90%以上に達することが確認されています。

※ブラッドパッチ療法に興味がある方は、直接、山王病院(公式WEBサイト)にご相談いただくか、脳脊髄液減少症に関する支援を行っている団体(認定NPO法人 脳脊髄液減少症患者・家族支援協会)にご相談してみてください。または当協会の認定院でもご相談可能です。

脳脊髄減少症は保険適用になるの?

脳脊髄液減少症の治療には、いくつかのアプローチがあり、その中には保険適用のものもあります。たとえば、ブラッドパッチ療法は、2016年4月から一部保険適用が始まりました。保険適用が進むことで、治療を受けやすくなっていますが、まだまだ厳しい状況は続いています。公明党公式WEBサイト→「ブラッドパッチ保険適用へ

保険適用については「保険適用される治療法とその条件」でも詳しく解説してますんでご覧ください。

脳脊髄液減少症サポートの頼れる味方、認定NPO法人 脳脊髄液減少症患者・家族支援協会とは

脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)の患者やその家族を支援するために設立された団体です。日本では珍しい、医師と患者のコラボレーションによる啓蒙活動を行い、患者とその家族がより良い治療とサポートを受けられるよう、医療機関との連携や情報提供など活動されています。

  1. 情報提供: 脳脊髄液減少症に関する最新の医療情報や治療法について、患者やその家族に向けて配信されています。
  2. 相談支援: 専門医や治療機関の紹介、治療に関する相談を受け付け、適切な支援を行ってくれます。
  3. 治療院の認定: 症状に対応できる医療機関や治療院など、信頼できる治療機関を提供します。
  4. 啓発活動: 脳脊髄液減少症の認知度を高め、理解を促進するための啓発活動をされています。
  5. 患者交流: 患者や家族が交流できる場を提供し、情報共有や支え合いを促進されています。

脳脊髄液減少症でお悩みの方は、ぜひこちらにご連絡ください。「むち打ち治療協会のサイトを見て」とお伝えいただければ、スムーズに相談に応じてくれます。

認定NPO法人 脳脊髄液減少症患者・家族支援協会(公式WEBサイト)
TEL.042-325-8225(FAX同) お問合せ時間(平日のみ) PM 1:00~PM 5:00

脳脊髄液減少症の治療費問題とその解決策:認定NPO法人の取り組み

脳脊髄液減少症は、現在のところ保険適用が十分ではなく、治療費に困っている方が多いのが現状です。この問題を解決するために、認定NPO法人 脳脊髄液減少症患者・家族支援協会が国に働きかけています。

その活動内容や現状について、協会の方にインタビューを行い、詳しく解説していただきました。ぜひ、ご覧ください。

脳脊髄液減少症の診断・治療ができる医療機関

各県庁HPに診断・治療ができる医療機関が掲載されています。各リンクをご確認ください。
(表記のない自治体は、直接お住まいの市区町村へお問い合わせください。)

または、上記の「認定NPO法人 脳脊髄液減少症患者・家族支援協会」へお問い合わせください。

都道府県 掲載ホームページ 都道府県 掲載ホームページ
北海道 北海道丁ホームページ 青森県 青森県丁ホームページ
岩手県 岩手県丁ホームページ 秋田県 秋田県庁ホームページ
宮城県 宮城県丁ホームページ 山形県 山形県丁ホームページ
福島県 福島県丁ホームページ 茨城県 現在記載がありません。
直接お問い合わせください。
栃木県 栃木県丁ホームページ 群馬県 群馬県丁ホームページ
埼玉県 埼玉県丁ホームページ 山形県 山形県丁ホームページ
神奈川県 神奈川県丁ホームページ 千葉県 千葉県丁ホームページ
東京都 医療法人財団 順和会 山王病院
独立行政法人国立病院機構災害医療センター
新潟県 新潟県丁ホームページ 石川県 石川県丁ホームページ
富山県 富山県社会福祉協議会ホームページ 長野県 長野県丁ホームページ
福井県 福井県丁ホームページ 愛知県 愛知県丁ホームページ
静岡県 静岡県公式ホームページ 岐阜県 岐阜県丁ホームページ
三重県 三重県丁ホームページ 滋賀県 滋賀県丁ホームページ
京都府 京都府丁ホームページ 大阪府 大阪府丁ホームページ
奈良県 奈良県丁ホームページ 和歌山県 和歌山県丁ホームページ
兵庫県 兵庫県丁ホームページ 鳥取県 鳥取県丁ホームページ
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兵庫県 広島県丁ホームページ 山口県 山口県丁ホームページ
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