「むち打ち症」は、交通事故後、時間を経過してから症状が現れることが多いので注意が必要!
「むち打ち症(鞭打ち)」とは、おもに、自動車の追突・衝突などの交通事故によって首が損傷を受け、鞭のようにしなったために起こる症状を総称したものになり、大きく分けて下記の5タイプがあります。
そして、軽い事故で直ぐには自覚症状が出なかったり、直後の検査で異常が認められなくても、数日から一週間くらい経ってから症状が現れることが多いため、直接の原因が交通事故によるものと認識しないこともあります。
もし交通事故に遭ってしまって、下記の内容に近い症状が見られたら、直ぐに適切な治療をうけましょう!
頚椎捻挫型
頚椎の周りの筋肉や靭帯などのレントゲンには写らない、軟部組織が損傷されたもので、「むち打ち症」の中では最も多く、全体の70~80%を占めているといわれています。
首の捻挫により炎症を起こしたもので、首の周囲の筋肉や靭帯などが過度に伸ばされたか、断裂している状態になります。
症状としては、首を伸ばすと、首の後ろや肩の痛みが強くなり、また、首や肩の動きが制限されることもあります。
また首を動かした時に痛みを感じたり、首や肩が動きにくくなる他、首・背中のコリ、頭痛、めまいなどが起こります。
根症状型
頚椎には7個の椎骨が連なっていますが、その中の脊髄からそれぞれの隙間を通って神経根という太い神経が出でおり、肩や腕などの末梢神経に伸びています。
追突などの外力でこの頚椎の並びに歪みが生じると、神経の通り道が狭くなり、頚椎から出る神経が圧迫されて様々な症状が出ます。
首の痛みのほか、腕の痛みやしびれ、だるさ、後頭部の痛みや顔面痛などが現れます。
バレ・リュー症状型
頚椎に沿って走っている後部交感神経が損傷し、頚椎動脈が収縮して、脳脊髄への血流が低下し、その結果、交感神経が過度に緊張して自律神経のバランスが崩れて、様々な症状を引き起こします。
最も多い症状が、頭痛、特に後頭部の痛みです。
首の痛みよりも頭痛から始まった場合、このバレ・リュー症候群が疑われます。
脊髄症状型
頚椎の脊柱管を通る脊髄が傷ついたり、下肢に伸びている神経が損傷されたりしたものです。
いわゆる脊髄損傷のことで、「むち打ち症」の中でも重症の部類に入ります。
下肢のしびれや知覚異常が起こり、歩行障害が現れるようになります。
また、膀胱直腸障害が生じて、尿や便が出にくくなることもあります。
脳脊髄液減少症
以上の4つのタイプの他に、何らかの衝撃で髄液が漏れる「脳脊髄液減少症」という症状がありますが、この症状については、他の頁で詳しく解説していきます。
脳脊髄減少症について